Q:ダートの馬場で調教駆けする馬はダートが得意なのですか?また坂路で好タイムを出す馬は直線
での坂に強いのでしょうか?
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A:よく調教に使われるダートコースは、美浦ならDコースとCコース、栗東ではBコースになります。
ここで好時計をたたき出す馬はダート向き、と言いたいところですが、現実には競馬新聞などに載っ
ている調教タイムからダート向きかどうかの判断を下すのは簡単ではありません。むしろ調教で速
い時計が出る馬は「短距離向き」だと認識しておいたほうがいいでしょう。もちろん短距離性能が高
いかどうかは持って生まれたスピードによるところが大きいですが、気性が占めるウェートも少なくあ
りません。常に一生懸命走ってしまう馬は短距離のレースが合っていますし、そんな馬は調教でも
一生懸命走って自然と好タイムが出てしまう傾向にあるのです。覚えておいて損はないでしょう。
また、坂路調教に関してですが、確かに坂路調教を積んでいけば坂のあるコースでの伸びが良く
なっていいと思います。しかし、「この馬は坂路調教馬だから坂のある中山で大駆けするだろう」とい
った狙い方はできないでしょう。現実的に馬券的中に直結するかは疑問が残るところです。 |
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Q:馬の調教映像では最後の直線の部分しか見ることができませんが、本当はゲートからスタートして
いるのでしょうか? |
A:調教に関する質問が実に多いのですが、一般ファンが調教を見ることができないからでしょうね。
調教は基本的に体をほぐす作業から入ります。角馬場と呼ばれる馬が20頭ほど入れる小さなサー
クルで準備運動を行い、それからコースに出て追い切りを始めるのが主流のパターンです。美浦の
Wコースを例に挙げますが、まずコースに出ると馬場の大外に近いところをゆったりと1,2周します。
そして途中から内に入ってペースアップし、ここからが本格的な追い切りとなるのです。従って、コ
ースでは外をゆっくり周回する馬と、内で全速で走る馬とが同居する状況となっています。質問にあ
ったゲートからの追いきりは、そう多くは見ることができません。ゲートから追いきった場合は、競馬
専門紙などにゲートの時計として1ハロン毎のラップが記されています。特にデビュー前の新馬のス
タートダッシュが速いかどうかを見極める重要なファクターとなるので、注意しておいたほうが良いで
しょう。JRAが一般ファンの調教を目の前で見る機会を増やしてくれるといいのですが・・・。 |
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Q:最近は久々の馬を放牧先で仕上げてから入厩させるケースが多く、トレセンでの調教回数や時計に
あまり意味がありません。このような馬に対する馬券作戦のコツを教えてください。 |
A:この手の質問が他にも多く寄せられています。最近は1年ぶりや2年ぶりで好走する馬をよく見かけ
ますが、ほんの数年までは考えられないことでした。1年休んでいて勝ったりしたら新聞の記事にな
って大騒ぎされたものです。プールや坂路の導入による調教技術の急激な進歩、そして外厩の整
備、この2つが大きな要因でしょう。ご質問にあったように予想する方にとっては悩まされる状況であ
るわけですが、その進歩自体は喜ぶべきことなのではと思います。
レース前日までの段階では、新聞に書かれている調教師のコメントを信じるしかありません。そし
て、当日に馬体重をチェックし、パドックで気配を確かめ、そこで結論を下す。結局は以前と同じで、
このごく当たり前の作業をするしかないのです。そこに、攻め不足だから切り捨てることをしない少し
寛容な気持ちを付け加えれば良いのではないでしょうか。
いくら放牧先で乗り込んでいるといっても、トレセン入厩後にビッシリ攻められている方が良い結果
が出ることは間違いありません。それだけは忘れず、コメントや調教のチェックに励んでください。 |
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Q:調教の時の斤量はどうなっているのでしょう? レースが59キロだから調教でも59キロを経験させて
おこうとか、負担が大きいから50キロにしようとかいろいろあると思うのですが…。調教タイムにも影
響するのではないでしょうか?
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A:普段の調教から足元に大きな負荷のかかることはできませんから、美浦・栗東両トレーニングセンタ
ーの砂やチップは深くなっています。ですから、鞍上に乗った人間の体重は調教タイムに多大な影
響を及ぼしてきます。5Fの攻めで2秒や3秒は時計が違ってくると思っていてください。
問題はそれがどこで分かるかですが、競馬新聞に掲載されている関係者のコメントや調教診断で
判断するしかありません。調教師や調教助手のコメントには「鞍上が重かったからね」というものが
ありますし、調教欄には誰が騎乗したのか明記されており、調教診断の中にも鞍上の体重に関する
ことが書いてある場合があります。
ただ、そこまで掘り下げて書かれている競馬新聞はほんの一部です。スポーツ新聞にはとても望
めないもので、いろいろな競馬新聞を買って自分が知りたい情報が詳しく出ているものを見つけてく
ださい。
また、質問にあったような次のレースが59キロだから59キロを経験させておこうといったことは基本
的にはないと思ってください。そもそも調教助手などには80キロ近い体重の方がいますから、レース
以上の斤量で調教をつけられている場合が多いからです。 |
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Q:競馬新聞の調教欄で「南」というのを見かけますが、これはどこの地名のことですか? |
A:ご存知のように、JRAのトレーニングセンターは茨城県の美浦と滋賀県の栗東にあります。調教欄
に「南」とあれば、それは美浦トレーニングセンターの南コースのことですね。美浦トレセンは栗東ト
レセンよりも規模が大きく、1周2000メートルほどもある大きなコースが2つあります。その2つのコ
ースを北にあるものを「北」、南にあるものを「南」と呼んでいるのです。
南コースは4本に分かれており、内のAコースがダート、内から2番目のBコースがウッドチップ、3
番目のCコースが芝、外のDコースがダートとなっています。今は多くの馬がウッドチップで追われ、
一部がDコースや芝コースで、Aコースで追われる馬は稀です。一方、北コースは3本のコースが
あり、内のAコースが障害用のコース、Bコースがダート、そしてCコースもダートとなっています。
この南コース、北コース、そして南のそばには小山と見間違うような坂路コースがそびえています。
調教師や騎手、厩務員たちも暮らしている美浦トレセンはとてつもなく巨大な施設で、JRAの規模の
大きさを感じさせてくれます。以前にも書いたことがありますが、もう少し一般の人に見学する機会を
与えてくれるといいのですが…。
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Q:先日の天皇賞の調教では、テイエムオペオーの時計よりステイゴールドの時計の方が速かったの
ですが、自分の使っている新聞ではオペラオーが「A」評価、ステイが「B」評価でした。これは何が
根拠になっているのですか? また、調教欄を見る時には、主観的な判断は読まずに、数値からだ
け読み取るべきなのでしょうか? |
A:まず、調教欄を読む時のスタイルですが、「時計」と「トラックマンの主観的な目」の両方を判断材料
に入れるべきです。後者に関しては、「自分の目」で見ることができるようになるのが理想ですね。「
時計」というのは、あくまで目安です。鞍上がどれだけ追って、それでどれだけの時計をマークした
のか、そしてどれだけの動きを見せたのか、これらを連動させて考えないことには意味がありませ
ん。どれに重きを置くべきなのかは、ケースバイケースですし、そもそも答えがないものです。調教
欄を読む勉強を重ねて、自分なりのスタイルを作ってくださいとしか返答できません。
また、時計が劣るオペラオーの評価が高かったことに関してですが、これはトラックマンが前回時
の動きをベースにランクを付けたからです。あるレースがあったとして、出走各馬の調教の時計や動
きを横に並べて比較することはさして重要ではありません。それよりも、各馬を縦に見て前回から上
向いているのか、それとも平行線なのかを見極めることの方がはるかに大切です。そんな意味で、
オペラオーが「A」評価、ステイが「B」評価となったのでしょう。
最後に一言、調教を見る目が身に付くと、馬券的中の精度は飛躍的に上がります。これだけは間
違いありません。 |
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