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質問46 暮れの中山開催は荒れることが多いですが、どんなことが原因になっているのですか?
答え 12月の中山開催には予想家としても馬券師としても非常に悩まされます。まず、ほとんどのレースがフルゲートになってしまいます。中山は府中と違って小回りコースのため、ゴチャつく競馬になって力を出し切れずに終わる馬が多く見受けられます。そして、不利があった馬が次走でスムーズに走って一変する……。こんな状況では予想を当てるのが難しいのは当然のことです。また、芝の競馬では冬場で芝の育成自体が悪いため、時計がかかる傾向にあることも問題です。今年などは例年より芝の状態が良いのですが、あと2週もすれば荒れた状態になってしまうことでしょう。

そして私が最も大きな要因と考えているのが、仕上げの難しさです。人間と同じで寒い冬は汗をかきづらく、太った体のままで競馬に出る馬が多くいます。「10キロ増だった久々の前走を叩いて狙いは今回!」、と思っていたのに、更に馬体が10キロ増えていた、などということが頻繁に起こってしまいます。暮れの競馬ではいつも以上に体調に注意してください。太りやすい体質の馬は敬遠したいですね。また、久々の馬が好走することが少ない時季でもあります。

質問47 先日、秋山騎手と上村騎手が騎乗停止を受けました。しかし、秋山騎手が実効2日だったのに対し、上村騎手は6日間という裁定でした。なぜ制裁の厳しさに差が出てくるのでしょうか?
答え 秋山騎手も上村騎手も斜行による騎乗停止でしたが、斜行にも“程度”があります。その程度によって「戒告(注意)」、「過怠金(1万円だったり3万円だったりと、これにも差があります)」、「騎乗停止」と制裁が分かれるのです。また、斜行といっても、騎手が悪いこともあれば、馬が悪いこともあるでしょう。秋山の騎手の騎乗停止が2日間と軽かったのは、騎手だけでなく馬にも非があったと思われたためで、現実に騎乗馬ホクセツハートは6日間の「出走停止」と、「調教再審査」の義務を課されています。これは馬というより、調教師の責任という意味合いの方が強いでしょうか。そして、上村騎手の場合は、騎手によるところが大きいと見られて6日間の騎乗停止になったのです。

今年から新潟で始まった直線1000mのレースを見ていてつくづく感じますが、競走馬を真っ直ぐに走らせるのは本当に大変なことです。時速70キロものスピードが出ているのに馬たちは固まって走っているわけですし、騎手とは命がけで本当に大変な仕事ですね。
質問48 スタートでの出遅れで騎手の腕の差は出ますか? あと、「ふわっとしたスタート」とはどういう意味ですか?
答え 「スタートのうまい騎手」、「スタートの下手な騎手」というのは確かに存在します。前者の代表はと問われれば、やはり武豊騎手の名前が挙がりますね。フランスに遠征するようになってから後方よりのポジションを取ることが多くなったように感じますが、それはあくまで作戦であって、スタートが下手になったわけではありません。後者にあたる騎手の名前も挙げたいところですが、ここでは控えておきたいと思います。代わりにこんな話をひとつ。美浦所属のT騎手はスタートで出遅れることが多いのですが、ゲート内で馬が暴れて落馬し大怪我を負ったことがあり、それがトラウマとなってどうしても発馬がスムーズに出来ないというのです。プロなのだから克服しなければと言われる方もいるでしょうが、仕方ない面もあるのではとも感じます。難しい問題ですね。

「ふわっとしたスタート」というのは、2つのことを指すと考えてください。一つ目は発馬に合わせてベストのタイミングでスタートしようとするのではなく、出遅れ気味にそっとスタートすることです。これは馬群の中で包まれるのを嫌がる馬などに騎乗する時に使う作戦ですね。もう一つはスタートしてすぐに手綱を押して仕掛けるのではなく、馬が行きたがってしまわないように丁寧に乗ることです。

スタートというのは、それによって馬自身の走りが違ってくるだけでなく、レース自体の流れにも影響してくる重要な問題です。昨年の秋の天皇賞のサイレントハンターの出遅れは記憶に新しいですね。あの馬の出遅れがなかったら、天皇賞馬は変わっていたかも知れないのですから。
質問49 なぜ強い馬ほど故障しやすいのですか?
答え

強い明け4歳の世代は、タガノテイオー、アグネスタキオン、アグネスゴールドとトップクラスの馬が次々と戦線を離脱しました。馬場のせいだとか色々と言われましたが、馬自身に弱いところがあったのも事実です。結論を言ってしまえば、優秀な血を重ねて作られた一流の血統を持った競走馬は体質が弱いことが多いということです。たとえば犬なども雑種の方が血統書付きの犬より体が強いですが、競走馬の世界でも同じことが言えるのです。また、脚力が強ければ強いほど、脚そのものにかかる負担は当然大きくなります。強い馬が故障しやすいのは、宿命であり、逃れることは出来ないものなのです。

昔の話になりますが、オグリキャップと同じ世代にテツセンスーパーという馬がいました。道営競馬に所属していた同馬は、何と「オグリキャップより強い」と言われていました。しかし、脚元が非常に弱く、走っては休み走っては休みという状況を続け、結局中央の舞台で走ることはなかったのです。

馬を強くしなければならない。しかし、脚元を気にしなければならない。調教師たちの努力は大変なものなのです。

質問50 前走でレコード勝ちした馬の取捨について教えてください。どちらかと言うと、凡走するケースが多い気がするのですが…。
答え 同じレコードでも、価値のあるものもあれば、あまり意味のないものもあります。芝にしろダートにしろ、当日の馬場状態がどうだったが重要なポイントになりますし、たとえばローカル場所の芝1800の2歳レコードなどになると、レース数が少ないために簡単に破られてしまったりします。最近では阪神芝1400でレコードを出したタガノチャーリーズが次走でGV3着、その次のレースで2着。それとタイレコードをマークしたローマンエンパイアが次走でGV勝ち。その京成杯では前のレースで中山芝1800のレコードを更新したブリガドーンが3着に健闘。なかなか頑張っているように思うのですが、どうでしょうか。「凡走するケースが多い」と感じるのは、過剰な期待をかけすぎだからかと思います。大抵の場合はレコードを出した次のレースは相手が上がり、距離も延びているので、凡走する可能性が高いと考えるのが普通なのです。レコードを出した時の条件、そして相手関係や距離適性を入念にチェックして結論を出してください。なお、3歳以上のレコードに関してですが、これは文句なく高い評価を与えて良いと思います。なかなか出るものではありませんが。

  

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