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質問90 直線での競り合いで外の馬が勝つことが多いのは何故ですか? 馬の性質と何か関係があるのでしょうか?
答え 皆さんご存知のように、サラブレッドとは非常に繊細な生き物です。激しい競走に耐え得るまでに精神的に鍛えられてはいるのですが、それでも気の弱さを出して負けるケースが多いのが現実です。

ご質問にあった競り合いで外の馬が勝つことが多い原因も、そんな馬の性格からきています。内ラチ沿いを競っている場合を考えると、外の馬は内に馬がいて外側には何も障害がないわけですが、内の馬はその内にラチがあり、そして外に馬がおりと挟まれる形で二重のプレッシャーを受けています。嫌気がさして下がるケース、余分にスタミナを消費して下がるケースの2つがありますね。

また、挟んでいる物がラチと馬でなく、馬と馬だった場合は深刻です。プレッシャーはより大きくなり、3頭併せの追い比べなどでは、真ん中の馬が真っ先に脱落するケースがほとんどです。スタート後の先行争いでも、3頭雁行の形になったら真ん中の馬が圧倒的に不利ですね。

そんな要素も一つのファクターとして予想に組み入れて下さい。直線でどんな形になるかまではさすがに予想できませんが、レース序盤の攻防を枠順を吟味しつつ予想するのは重要なことなのです。

質問91 日本の競馬は海外に比べてGIが少ないと思います。GIが増えれば競馬人気も上がると思うのですが、どうでしょうか?
答え 現在の中央競馬のレース体系を見ると、年齢別(2歳、3歳、古馬)、距離別(短距離、マイル、中距離、長距離)に頂点となるGIがあり、牡馬限定、牝馬限定の区分けきちんとされ、また、春と秋のGIの置き方にもシッカリした意思が感じられます。私は小さなマイナーチェンジはあっても、大きな改革はすべきでないと考えます。

ご質問にはGIが増えれば競馬人気が上がるのではとありましたが、実際はその逆で、GIを
増やせば競馬人気は間違いなく落ちるでしょう。GTの数を多くしてもレベルの高い馬が増えるわけではありませんから、必然的に強い馬が分散することになります。そうなると、レベルの低い価値のないGIが必然的に生まれてしまい、“GI”そのものの格が落ちてしまいます。今は“GIレース”というだけで興奮するものですが、そんな情熱が薄まりことになりかねません。


また、長い目で見て、サラブレッドのレベルアップを阻害することにもなるでしょう。他の世界で、プロ野球やJリーグなどはチーム数が多すぎると言われています。野球やサッカーなどは、ハイレベルの試合をして選手たちのレベルが上がっていくものですから、チーム数の少ないところにいい選手が集中して、質の高い試合をした方がいいのは道理です。それは競馬の世界でも同じで、強い馬が集まって厳しいペースや厳しいプレッシャーの中でレースをした方が、馬は強くなっていくものなのです。

競馬人気の低迷が言われて久しいですが、私自身はそんなに悪い状況ではないと考えています。株にしても、土地の値段にしてもそうですが、バブルの時代が異常だっただけで、そこから売上が落ちるのは当然のことです。今は趣味も多様化してきましたし、非常に景気の悪い中で中央競馬の売上は健闘している方ではないでしょうか。とはいえ、私も競馬人気アップを望む“競馬ファン”の一人です。オグリキャップがいた時代の熱狂が忘れられませんし、そんな時代が再びやってくることを期待します。

質問92 1800の持ちタイムを見て、そのままあと200メートル走ったら2000でいい記録が出るのではないかと思うのですが、そううまくいかないのは何故ですか?
答え 現在、芝1000メートルの日本レコードはカルストンライトオが新潟で記録した53秒7ですが、これを2倍すると1分47秒4になります。しかし、芝2000のレコードはツジノワンダーが同じく新潟で出した1分56秒4。両者の間には9秒もの開きがあるわけで、それほどまでに距離によって必要なスタミナ量は違うのです。

200メートルとはいえ馬鹿にはなりません。人と馬では基準が違うとはいえ、よくよく考えたら大変な距離です。芝2000を芝1800のつもりで走ったら、残り200メートルでバタバタになり、良い結果が出せないばかりでなく、馬にも相当な負担を与えることになるでしょう。距離が200メートル違えば、それだけ途中で減速することが必要なのです。

“全力疾走できる距離”というのが極端に短いことも覚えておいてください。これを聞いて競馬感がガラリと変わる方もいるかと思いますが、サラブラッドが本当に全力で走れる距離は50メートルです。大目に見て、ある程度は全力で走れる距離が300メートルでしょう。これは何も不思議なことではありません。42.195`もの距離をすごい速さで走る高橋尚子でも、トラックをスタートから全速で走ったら、200メートルもいかずにバテるに違いないのです。だからこそ、競走馬が芝1800を走り、そのまま芝2000まで速いスピードを持続させて走ることなどできないのです。

また、この全力疾走できる距離の短さが“展開”が生まれる原因でもあります。スローペースで追い込んで届かなかった時に、「もっと早く仕掛けていれば…」と感じることがあると思いますが、ペースが不向きと分かっていても早く仕掛けると止まってしまうから動けないのです。

こんなことを頭に入れて予想を立ててみてください。また、レースでも意識してみてください。きっと、難解とされる“展開”の読み方が分かるようになるはずです。

質問93 今の若手ジョッキーで、伸びてきそうな人は誰ですか?
答え サラブレッドのトップスピードは60キロ以上。しかも、騎乗しているジョッキーの視点は2メートルもの高さになります。そんな状況の中で馬同士が固まって走り、ペースを読んだり、コース取りを考えたりするのですから、“騎手”という職業は私たちの想像も及ばない大変なものだと思います。もちろん、デビューしたてのジョッキーが十分に激しい競馬に対応できるはずもありません。日本を代表する名手である船橋の石崎隆之も初めは“乗れないジョッキー”だったそうです。

まだまだ甘いところばかりの若手ですが、数を乗っていくうちに上達していくことでしょう。特に強い馬との出会いはジョッキーのレベルを急激に上げるものです。穂刈(23)などは、ディバインシルバーに騎乗して馬との呼吸を大事にすることを覚えてきました。他で梶(20)は将来的にトップジョッキーになる素質を秘めていると思います。鈴来(20)、石神(20)、昨年デビューの五十嵐(20)なども、そこそこ騎乗機会に恵まれており、大きく成長するかもしれません。関西では昨年32勝と大活躍した川島(20)が若手の有望株として挙げられます。

経験を積んで確実にステップアップしていく騎手もいれば、競馬に対して怖さが出て満足に乗れなくなってしまう騎手もいます。評価付けを確定させるのはあとでも構わないわけですし、成長ぶりをあたたかく見守って行きたいものです。

質問94 無印の馬が大駆けしたときなど、事前に厩舎サイドは手応えなり、予感なりを感じているものなのでしょうか?
答え 私が所属する優駿クラブでも、競走馬を所有し、道営や南関東で走らせています。熱を入れて本格的に馬主業をやっているわけではないのですが、ニュージーランドで購入した外国産馬が大井でB級まで出世したりと、それなりの活躍をしてくれた馬もいます。

とはいえ、「人気」、「人気薄」と分けたら、後者のケースが多いのは事実です。そして、人気薄の場合は、その人気通りに好走しないことがほとんど。「競馬であんなに穴馬が来るのに、なんで自分のところの馬は来ないのか?」とは高橋研の言葉です(笑)。もちろん、調教師から馬の状態等の情報は入ってくるのですが、状態が良いからといって競馬で結果が出るわけではなく、いつ好走するかは調教師や厩務員でもつかみづらいのでしょうね。厩舎サイドが手応えを感じているのに凡走し、逆に来ないと思っているときに好走し、と思惑通りに事が運ぶケースはごく稀と思います。

そもそも、厩舎サイドで好走するか凡走するかが分かるのなら、「ギャンブルとしての競馬」は成り立たなくなってしまいます。競馬とは関係者でも分からない面が多い、まさに「水もの」なのです。


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